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Saturday, August 28, 2010

002. ハルカくんの音楽




「twilight」haruka nakamura

今年もっとも聴いたアルバムは?と訊かれたときの答えがもう決まっております。

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記憶ということについて考えざるを得ない音楽。というものがある。

「記憶」の定義というのは様々だと思うのだけど、例えば自分の今までの人生の中で出会った色々なこと、みたいな風には私は定義しません。記憶は自分の外側にあると思っているし、そう思うようになったのは割と最近なのだけど、結構な確信となっている、今は。

記憶って、奥底では繋がっているものなのだと思う。あの人の記憶も、あの小鳥の記憶も、あの木の記憶も、ぜんぶ。

そして、そういった膨大な「記憶」が「ノスタルジー」をつくる。という風にも思っている。「記憶」は過去のものだけど、「ノスタルジー」はそうではなくて、もっと時空を越えたもの。というのかな。

私はハルカくんの音楽を聴くといつも、過去と現在と未来は、同時に起こっているのではないか、という感覚にとらわれる。そういうことを思うとき、個人的に「まだ見ぬノスタルジー」という言葉を使っているのだけど、未来を懐かしむ感覚のようなものが、無条件に身体じゅうにぶわーーーっと溢れて、それはもう、涙が出ることもある。という感じなのです。

彼の音楽は、いわゆる、とってもいい音楽で、ていねいにつくられたおいしい食事のように(凍えた身にしみわたる、あたたかいスープのように)、本質的な部分に触れるものを持っている。好きじゃないと言う人は、多分そんなにいないと思う。
でも個人的には、うっかり「いい曲だよね」みたいなことはあんまり言えないというか。怖くて。それは夕暮れの空や、光が反射する湖の水面や、まっすぐに伸びている大きな木なんかに対する気持ちと似ている。「きれいだよね」では何も言いあらわせない。言葉という意味ではなくてね。

つくられたものではなく、生まれたもの。

彼の音楽には「祈り」が沢山出てくる。言葉としても、音としても。それは、凄く個人的なものだと思うし、でも、個人的っていうことは、もちろん、その人だけのことというわけではないんだな。私がハルカくんの音楽をとても好きなのは、そういうことが関係している、と思う。

「祈り」っていうのは、たぶん。

色々な祈りがあると思う。願いでもあるかもしれない。儀式でもあるかもしれない。習慣でもあるかもしれない。
もちろん感謝も。
でも、すべての祈りが向けられている先って「記憶」なのではないかな?と思うのです。

そして、祈りって、光のことなのかもしれない。



どうか、わたしたちの道を、これからもたくさんの光が照らしてくれますように。


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CURTAIN CALL. haruka nakamura
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