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Friday, July 29, 2011

011. かっこいい人。

林文浩さんと原神玲さんが亡くなった。

日々色々な人がこの世に生を受け、この世から去っていくわけなのだけど、
このふたりと、アレクサンダー・マックイーンに関しては、とても自分のなかで動揺があり、受け入れられないものがある。

愛すべきくだらないことをして、ひとを(そして自分を)好きになったり嫌いになったりして、傷つけたりゆるしたりして、もうそういう人生というものが全体的に奇跡的に成立しているし、大切なひとは大切にしなければいけないなと思いました。明日どうなるかわからない。

ひとの死、ということについて考えるとき、私にとってとても大きな意味を持つのがなぜか深沢エリサさんとmariaさんというふたりの女性。長年一緒に暮らしていた祖父や、恩師である植村秀氏などよりもまず思い浮かぶのがそのふたり。どうしてなのかなと思うのだけど、前者の2人は私の中で「寿命を全うした人」だからかもしれない。
それは死因とかって問題ではもちろんなくて、うまく説明できないのだけど、どうしていなくなってしまったの?まだやってほしいことがたくさんあった。っていう無念の気持ちでいっぱいになってしまう大好きな人が、絶対的にこの世からいなくなってしまうというのはどうしようもなくかなしい。
そういうことの前では血とか関係性は私にとってあまり意味を持たないのかもしれない。

林さん、原神さんも(そしてマックイーンも)私にとってそういう人なのだと思う。

どんな亡くなりかたでももちろん寿命は全うしているのだよね。だから結局言えるのって「ありがとう」になってしまうし、死って当人よりも残された人にとっての課題というか、命題。死人に口なしとはよく言ったもので、それは今生の別れみたいなことではなく、普通の日常生活でも沢山あることだ。
死というよりも別れということがつらいのだと思う。きっと。でも、そんなの変だね。その後も繋がることなんて沢山あるし、だからやっぱり残された人がどうかということになるのかもしれない。

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で、林さんの話になるのだけど、私には「最も好きな雑誌はDUNE」という時代が間違いなくあった、たぶんMilk Fed.立ち上がりとかパルコのBaby Generation展とかBOSS HOG来日なんかの時代ではないかと思う、ので大学生のとき。当時は林さんより中島英樹さんがADだったので、そこに惹かれてたところもあり。DUNEによって色々なものが繋がったし、必ずヒステリックグラマーの広告写真のページが入ってて、これ撮ってる人は間違いないなと思ってた記憶。もちろんSofia CoppolaがRoyal TruxのJenniferを撮っていたりとか、Ellen Von Unwerthとか、Terry Richardsonは私ヒスの広告写真で初めて知ったと思う(当時Nikki Ubertiというモデルとつき合っていて、自分の彼女にハチャメチャなことさせて、というか一緒にやるんだけど、で、撮るっていう手法は衝撃受けました)。
じぶんの好きな人が出ていたら「あー私間違ってなかったんだ」と思ってたし、知らない人が出ていると「この人間違いないんだろうな」とか確認するみたいな、子どもっぽい見方もしていたと思う。今思えば完全に林さんの編集力、センスがいいということなんだけど、当時はそういうの全然わかってなかったですね。MarioとDavid SorrentiのすごさもDUNEに教わったし、ヒスの北島さんと田中宗一郎さんとの音楽対談なんかもあったり、とにかく信用している雑誌でした。
でも、載っているラインナップがファミリー感強い感じがしてだんだん買わなくなったのだよね。

このたび、4年ぶりに「Libertin/DUNE」としてリスタートを切り、THE LAST GALLERYも立ち上がり、だったのだけど、正直いつものDUNE節だなくらいにしか思っていなくて(だって表紙がソフィアで「SOMEWHERE/NEW YORK/TOKYO/RIO DE JANEIRO」って!)食指が動いてなかったのですが、林さんの訃報を聞いてものすごくショックで、ようやく見つけて購入しました。

結論から言うと林さんなんてかっこいいんだろう、ってことですね。

いい意味でまったく変わってなくて、今は私が当時より変わっているから、どうしてこの紙で、この構成で、この文字量で、っていうのが少なからず感じられて感動するというか。今の日本でこれをやることの意味とか。どうしようもなくやらなければいけない感じとか。そういうのが全部出ていて、そうだよねって。昔の私は見たままの情報しか得てなかったんだなって。反省しきり。

多分DUNEはDUTCHとかRaygunみたいな伝説の雑誌になるんではないかな、なんてバカみたいなことを思いつつ。色々なものをくれてほんとうにありがとうございます、林さん。

「SOMEWHERE」をもう一回絶対に観ること。